2008年 ペレッテリアを開いて4年目、内縫いの面白さにハマった頃でした。世の中はリーマンショックで大変だったみたいで、ペレッテリアでも12月はひとつもオーダーが入らなかった、ほろ苦い記憶が残っております。写真は7月からの半年分しか残っていなくて、本当に残念です。 作る度に型紙や工程を工夫し続けたジュピター マチがキュッとくびれるところがポイントでした。 ファスナーの下処理をする写真がありました。 ファスナーの生地は簡単にほずれます。 切断面を溶かしてあげるとほずれなくなります。 これは芯材の下処理です。 切ったままだと0.4ミリの厚みでも断面の反力があるので 際を薄く漉いてあげます。 すると反力がなくなり「ここから芯材が始まりますよ~」とバッグの表に響かなくなります。 ミシンの縫う位置を撮っていました。 際から2ミリのところを縫っています。 この年は初代To-toが生まれた年でした。 持ち手を袋縫いで柔らかく仕立てたので、ひじ掛け持ちでも痛くならない、という狙いでした。 ミニも作りました。 あぁ、、これはお客さんが幅を何センチ、縦を何センチ、奥行きを何センチ小さくという指示をされて作りました。バランスがおかしくなりますよ、とアドバイスしたのですが受け入れてもらえず。出来上がったバッグを見たお客さんの顔は曇ってました。 素人さんが、ぱっと思いついた感覚で作って上手くいくわけがないのですが(上手くいったらそれは偶然)オーダーだとがんばちゃうので、そういう場合どうやって力を抜いてオーダーして頂くかにシフトするようになりました。 たくさん作りました。 たくさん、たくさん作りました。 もうお腹いっぱい おかわりは続きます 何事もやり過ぎはいけません。 オープン時にあったカルバ(曲線という意味)のデザインも変化してきました。 基本的にファスナーは一貫してコイルファスナーを使っています。軽量で壊れ難くて、なにより手に当たっても痛くない。金属の見た目の高級感は捨て難いけど、重くて壊れやすく、何より手に優しくないので、やはり優れているのはコイルなのです。 すごい色の組み合わせだ♪ フルオーダーも色々と作らせて頂きました。 中にはこんな風にお客さま手作りの詩集をバッグに取り入れたりもしました。こういうのやらないと思われがちですが、お客さまが喜ぶなら何でもやりたいと思います。 あ、でもコピーはダメですよ。それをやったらおしまいです。 私はこの作品が大好きです。お客さまの刺繡と革の色とバッグの形のバランスが最高だと思っております。 懐かしい、、、記憶に残る形です。お客さまの意見だけで、私の意見は一つも入っていない形。 喜んで頂けるならそれで良いんだと、自分のことはさておきに徹するんだと。それで良いのか?それじゃいけないのか?葛藤したものでした。 小物は嫌いなんです、と明言していても頼まれたら作るしかありません。どうせ作るなら楽しんで、バッグ屋目線で工夫したものを思って作りました。 カードをたくさん入れても厚みはそこそこで済む財布。 たくさん作りました。 ボールのデザインもだいぶ変わりました。 こういう繋ぎ目のところを見ると、作者の器量が一発でわかっちゃう。もちろん「まだまだ」です。 こっちはまぁまぁ ここなんか全然甘い。今ならNGです。すみません。 ん~~~反省点だらけ その時はベストを尽くしていたのです。 ジョブもだいぶ変わりました。 好きなんですよね、こういうのが。 こんなのも作ってました! よくやるなぁ~~と思います。若かった。 メンズっぽいけどメンズじゃないバッグ。 練馬区から歩いて来られるお客さまのファーストバッグ。 サイクルミニをお客さまのご要望で変化。 かぶせのつけ方 制作中の写真もありました。 ミシンだから出来る縫い方 糸を切る「糸止め」という作業は何回やってきたのだろうひとつのバッグで100回だとすると、過去に5千個は作ったので50万回はやったことになります。それでもたまに失敗します。 三角の切込みは「アタリ」と言って、正確に縫い合わせる為のマーキングです。 ファスナーはかぶせがあるところまでの短いバーション地下街で見る「こ、こ、こんな短いエスカレーターがあるんだ!?」みたいな短さ。 部品が重なって縫い込まれる部分は当然厚みが増します。そのままだととんでもなく不格好になるので、厚みを計算して調整して仕立てるのが大事です。 挟んだ革が徐々に薄く消え入るようにそうやって作ります。 ジュピターのマチの型紙は、竹をスパッと斜めに切った断面みたいに作ります。駆け出しの頃はこれがなかなか作れなくて苦労しました。 キレイな正円が出せるようになりました。 今見るとまだまだ甘いところがたくさんあります。 内縫いと外縫い 外縫いの方が圧倒的に難しい エネルギーを感じます。 ボン・キュッ・ボン 革だから出せる曲面 ムニュっと どうやって作るのかと聞きに来る同業者がたくさん、本当にたくさんいらっしゃいました。まずは包丁研ぎからだよと言うと「作り方だけ教えてくれればいいんだけど」と言う人までいて答えを知ったところでその道中を知らないと作れないわけで、なかなか理解されませんでした。 外縫いのフィッシュが内縫いのバラクーダへと進化しました。 作った作った、たくさん作りました。 フィッシュとバラクーダ バラクーダが出来た時は本当に嬉しかったなぁ 嬉しくてたくさん作りました。 全部売れました。 そういえばあの革屋まで買っていったなぁ。多分バラされたんだろうなぁ。 今はこれだけ作るパワーはありません。がしかし、違うものがあると思います。 内縫いを確立出来た2008年でした。