株式会社ツカサ勤務時代

修行を終えてバッグメーカーの「株式会社ツカサ」に勤めました。
バッグメーカーは問屋さん(ブランド)から依頼を受けてバッグを量産する会社です。
型紙→抜き型→裁断→付属品の手配→革漉き→縫製→仕上げを行います。
私は問屋周りをする営業からサンプルの手配、時にはサンプル制作をさせて頂きました。
感謝してもしきれないほどお世話になった会社でした。



駆け出しの新人には贅沢過ぎる作業環境を使わせて頂きました。
この時使っていた道具のほとんどが今も現役です。
生地で仕立てたビジネスバッグです。
生地で作るバッグは色々な仕掛けが作れますが、その分苦労も多く大変でした。
革とメッシュのサンプルバッグです。
様々な素材を扱えるのもサンプル制作の醍醐味。 革だけやってたら知りえない経験を積めます。

誰もが知ってる問屋さんのエース的な人のデザインです。
この人のサンプルを作るのは楽しかったなぁ。
型紙を起こして作る方は大変ですが面白い。

これも多分エース的な人のデザイン。 シュッとしたデザインが多かったですね。
何回も作り直した・・・
薄い革を盛り上がらせる工夫などなど、あの手この手を仕込んでますね。

ガラッと変わったデザインは業界では有名な名物デザイナーさんが起こしたデザインです。
その方に気に入られてご指名を受けてサンプルを作りました。
高級な革ではない、普通の革を如何にして仕立てるかという経験もたくさん積ませて頂きました。
今ではなかなか見ることのないガラスの革ですね。 
出来上がったサンプルを名物デザイナーさんは気に入ってくれて
ご機嫌な様子で真っ赤なシボレーのオープンカーに積んで帰られたのを覚えています。

至って普通なデザインのようですが、、、持ち手の根元がなにやら難しそうな仕事をしてますね。

これはよく知られたブランドのサンプルです。

このデザイナーさんにも気に入られて指名で作らせて頂いてました。
実に下手くそなんです。 何が良くて気に入ってくださったのか不明でした。
作らせて貰える喜びでいっぱいでした。

 

こういう異素材の組み合わせもたくさん作らせて頂きました。

これは多分エース的なデザイナーさんなんじゃないかと思います。
シュッとしてますから。
結構無理難題が多かったんですよね。そのお陰で鍛えられました。
バッグを作り始めて2年目くらい。 必死でした。

ツカサの社長が「デザインして作ったら」と指示をして頂き作ったオリジナル。
仕事で自分の作品を作らせて貰えるという、、、本当にありがたいことでした。

しかもひとつではなくシリーズで作ってという指示を頂きました。

材料は会社で余っていた素材を使って、金具も自分で探してきて作りました。

問屋さんにメーカー側からの提案という社長の考えでした。
嬉しくて嬉しくて無我夢中で作ったのを昨日のように覚えています。
今見ると「う~~~ん」って思いますが、カブセのラインが胴とマチの縫い割と繋がるようにしてたり
マチの下側を摘まんで立体感を出そうとしていたり、あれこれ考えていたんだなぁと思います。
残念ながら商品化はされなかったのですが、とても貴重な経験を積ませて頂きました。

今でも社長(2代目会長)若奥さん(現2代目大奥)のご夫妻とお付き合いをさせて頂いております。
ペレッテリアを営んでいられるのも、師匠やツカサをはじめたくさんの人に育ててもらったからです。どんなことがあってもそれだけは忘れないようにしています。

感謝してもしきれない、育ててくれる人に恵まれたバッグ作りの原点でした。