2004年  第1章

2004年6月5日になんの宣伝も告知も開店記念!みたいな張り紙も何もしないでオープン。
自分の仕事が世の中に受け入れてもらえるのか、期待より不安でいっぱいの出発でした。
1年間分の家賃を先払いして、1年やってダメだったら諦めようと思って始めました。

オープン初日に飾ったバッグの写真が残っていました。  
この写真を編集しようとした瞬間、とんでもない出来事があったのを思い出しました。
オープンして間もなく、自称「画家」という女性が来店されるようになりました。
この界隈を知らない私に色々教えてくれて、最初は親切な人だなぁ~と思ってました。

ある日のこと。

ご自分で描いたという絵を持ってこられたので「いいですね」と申してしまいました。
その絵はちょっと言葉に出来ないような絵?だったので、適当な言い方をしてしまったのです。
これがいけなかった(でも多分なにを言っても結果は同じだったと思う)

数時間後

再び現れた自称画家が「気に入ってくださったみたいなので差し上げます」と絵を持ってきたのです。
もちろん「貰うわけにはいきません」とお断りしたのですが、差し上げたものは受け取れないと
半ば強引にテーブルの上に置いたまま帰ってしまいました。

それから数日後です。

三度現れた自称画家に絵は頂けないのでお返ししたいと言うと・・・

じゃ~~さっ、このままじゃお互い気分が良くないからあれと交換でどう?

差した指の方向にこのバッグが飾ってありました。
ちなみにこの絵はおいくらですか?と聞くと「10万円です」と言いました。
もう逃げ場がなかった私は、バッグを渡して置いていかれた絵を捨てました。
そして自称画家がペレッテリアに現れることは二度とありませんでした。

右も左もわからない素人の私が受けた商売の洗礼でした。

なんと開店初日にオーダーが入りました。
そして出来上がった記念すべきペレッテリア1作目のバッグです。
サンプル職人時代に仕入れていたイタリアの革を、ここぞとばかりに使用しました。
一番最初のお客さまは今もバッグを注文しにいらしてくださいます。
いつだったか「実は一番最初のお客さまだから特別なんです」とお話しすると
「ふ~ん。でも他のお客さんと同じだよ」と言ってくれました。
「はっ」と気が付くこと、とても大事なことを教わりました。

ボールの原型です。
このデザインはサンプル職人時代に温めておいたデザインです。
柔らかいイタリアの革で作りました。
素朴でいいバッグでした。
縫い目の周りにシワが寄ったりしてますね。 仕事がまだまだ強引でした。
力を入れて作るのは簡単、力を抜いて作るのは難しい
型紙もどんどん変えて新しくしていきました。
どこをどうすれば、どういうシワになるのか
セミオーダーで作ったボールの変形
すごいお洒落なお客さんで緊張しました。
やったことのない仕事を経験
サイクルの原型です。
ダンボみたいな色だなと思って作ってました。
今見るととてもシンプルですね。今度作ろうかな。
ポケットの無いパターンもありました。
滅多に作らない隠しファスナーだ。
これは自分で使っていたショルダータイプです。
値札が付いてる・・・革を傷つけるから止めたんですよね(面倒だとは言ってない)
肩が痛くならないショルダーベルトが懐かしい。
バッグの中に取り外し式の仕切りのオーダーを受けたこともありました。

たくさん作りました。
ピーナッツというバッグの原型です。
このデザインの裏には型紙のトライがありました。
中央の絞られていますが、そこのどうしてもシワが寄ります。
そのシワをどうにか上手くいなせないか、という挑戦でした。
カルバというバッグの原型です。
女性が持ち易いビジネスバッグを開発するのがテーマでした。
フィッシュの原型です。 このデザインはサンプル職人時代のもので、店頭にも並べました。
オーダーが入って作ることになり、とても嬉しかったのを覚えています。
その線をそうしたかったんだね、気持ちは良くわかるよ、と昔の自分に言ってあげたくなります。
お客さんの声によってデザインが変化していきます。
魚をイメージして、でも魚っぽさを抑えたい、という意思が表れてきました。
いわゆるポスト縫いで仕立てています。 腕ミシンだって出来るんだい!と。
技術への挑戦も若さ故、頑張っていたと思います。
真っ白なフィッシュも作ったんだ。。。 
これはフィッシュの原型からの変形です。
昭和って感じですね。
白いのもありました。
息子に作った幼稚園バッグが意外と評判良くて作りました。
息子は道路で引きずってバッグはボロボロになってました。
巨大なフルオーダーバッグ。
ここでも取り外し式の仕切りがたくさん。
美錠辺りのまとめ方は今もあまり変わってませんね。 成長してないんだろうか。
形もデザインも「かたい」バッグですね。
今だから言えるけど、目指していた方向じゃないんですよね。
でも修行先で得た世界がかためのバッグだったから、こっちの方向が増えてしまった。
 
「かたい」中にも様々な「やわらかい」があると思ってチャレンジしてました。
天マチの作り方なんか見ると「よくやるなぁ~」って思います。
著名なお医者様に作ったバッグです。
「ずっと使っていたんですよ」と、お亡くなりになられた後に奥様が言いに来てくれました。
写真を見ると様々な思い出が湧き出てくます。
忘れもしないバッグ。
結婚前のカップル。彼女が彼にプレゼントで作ったバッグでした。
ひとつしか作ったことのないデザイン。数年後オニオンというバッグに変化します。
二人はめでたくご結婚され、なんと私が婚姻届けの証人に。
お祝いに彼女へ私からのプレゼントで作りました。
世界中を異動してる二人は今どこにいるのかなぁ?
こういうバッグを作って欲しいというオーダーでした。
自分っぽくない。
自分に中にないものを作ることで自分の世界が広がる、いかにお客さまの声を拾うかだと。
こういうシンプルなデザインも作りました。
使いやすいでしょうね。
二つのバッグが一つになったバッグです。
なんでこんなバッグを思いついたのか、思い出せません。
でもそれを気に入った方がオーダーされて
まっすぐに立つことが出来ないのに、、、どうして?と当時の自分に問いたいところです。
さらに気に入ってくださった方がいらして
今度はちゃんと自立する形にしたみたいです。
よく作ったなと思います。 若い。
黒に赤より赤に黒の方がカッコイイと思った記憶があります。
筒を折るタイプのバッグです。
左右に分かれたファスナーポケット、ベルトの長さを変えられて。
横長タイプ
正方形タイプ
これも本当にたくさん作りました。
折るタイプは使い勝手がいいんですよね。 今もその考えは変わっていません。
折るタイプをことごとく発展させたフルオーダーです。
ポストイットを入れる小さなポケットが三つ並んでいます。
こちらには折り畳み傘入れ。黒い革は防水加工が施された革でした。

このあともまだまだたくさんの写真がありますので、日々更新してまいります。